2017年 07月 11日
金継ぎの魅力 |
長く水屋の奥で忘れ去られていたうつわが、きれいに繕われてテーブルに復帰しました。 少し見えにくいかもしれませんが、縁の部分に補修を施しました。
もうずいぶん昔に五客揃って買ったベージュのカップは、元々さっくりした土でできていましたので、使っているうちにあちらこちらが欠けてゆきました。
肌の色と抽象的な模様が愛らしくて、お気に入りでしたが、お客様に出せない状態にまでなっていました。 そして、ずんずんと水屋の奥に追いやられて、長い間日の目を見ることがなくなっていったのです。
さりとて、捨てることもできずに眠っていたのですが、冬から通っている金継ぎ教室で補修していました。
友人のアンティークショップの一室で、月に1〜2度開かれている金継ぎ教室では、丁寧に教えて下さる先生と友人たちと、楽しく学んでいます。
漆の行程は本当に気長に丁寧にしなければなりませんから、いっぺんにたくさんはできません。 けれど、時間をかけてお気に入りのものを繕ってゆく過程は、忙しい現代人が忘れかけている大切なものを思い出させてくれます。
忙しい仕事の合間に、ほんの少しのこうした時間を持つことは、私の愉しみのひとつです。
大きく欠けた箇所、小さくぽつぽつと欠けた箇所を、こつこつと直してゆきました。
このベージュのカップは、金ではなく白漆で補修したのです。 おかげでぱっと見て分からないくらい、自然に甦りました。 今はもうすっかり暮らしの中に戻って、料理教室のときやお客様にもお出ししています。 取り敢えずは三つ、あとの二つはまた次回に。
そしてこの他にも、骨董の染め付けの八寸皿4枚も直しています。 まだまだ時間はかかりますが、ものに対する愛情を注ぐ時間と思って、充分に楽しむことにしましょう。
by galleryfabrile
| 2017-07-11 23:02
| 日々雑感
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