2014年 10月 12日
映画はいつも..... |
10月の料理教室を終えてほっとした今日、午後から映画を観にゆきました。
県庁所在地の奈良市から、映画館がなくなってどれくらいになるでしょうか。 青春時代に数限りない映画を観て、そこからいろんなことを学んだ私には、街から映画館が消えてしまうなんて信じられませんでした。 とはいうものの、奈良に来てからはすっかり映画館とはご無沙汰になっていましたので、内心忸怩たる想いがあるにはあったのです。
映画館消滅からほどなく始まった「ならシネマテーク」は、毎月場所を変えての映画上映会です。 主催は、NPO法人「なら国際映画祭実行委員会」です。 毎回厳選された演目で、小規模ながらスタッフやボランティアの方々が頑張っていらっしゃいます。 そして、10月の映画は「死刑台のエレベーター」でした。
フランス ヌーベルバーグの旗手、ルイ マル監督が25歳のときに制作した作品です。
マイルス デイヴィスのモダンなトランペットでも知られるこの映画が、およそ60年も前に撮られたとはとても思えません。 物語といい、音楽といい、俳優の魅力といい、今日まで色褪せることなく保ち続けているからです。
私がこの映画を初めて観たのは、30年ほど前のこと..... 大阪には名画をかける映画館が、いくつかありました。 当時は、名画の2本立てリバイバル上映というものがあって、それは確か西梅田の大毎地下劇場だったと記憶しています。
今日と同じ日曜日の午後、ひとりで出かけた映画館で「死刑台のエレベーター」に出逢ったのです。 当時、大阪の画廊に勤めて忙しくしていた私は、仕事が終わった後や休日に観る映画が、何よりも愉しみでした。 少しでも早く一人前になって仕事をこなし、素敵な大人になりたいと願っていた20代の頃の私です。
主演女優のジャンヌ モローは、私の憧れでした。 美しさや演技の素晴らしさは言うに及ばず、ヘアースタイル、ファッション、仕草、歩き方..... そのひとつひとつがお手本でした。 アンニュイな雰囲気も真似したいことのひとつでしたが、当然到底及びません。 映画はジャンヌのアップで始まります。 その途端に、私の時間は30年前に遡っていました。 ぐいぐいと引き込まれてゆき、瞬きも惜しいくらいでした。
けれど、今日はジャンヌだけではなく、物語の巧妙さや画面のディティールにまで視線が及び、愛の残酷さや時の儚さなどが胸に迫りました。 30年の月日は、どうやら私にいろんなことを教えたようです。 好きな映画や本を10年おきに観ますと、そのときどきで感じ方が変わっていることに驚きます。 成長しているかどうかは別として、さまざまな経験がそうさせているのだと、感じ入るのです。
昔も今も、日曜日の午後に観る映画は、素晴らしい時間を与えてくれるのです。
by galleryfabrile
| 2014-10-12 22:21
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