2014年 11月 12日
文楽へ 双蝶々曲輪日記 |
昨日、文楽11月公演に行ってきました。 演目は「双蝶々曲輪日記」(ふたつちょうちょうくるわにっき)でした。
午前11時開演の部でしたが、ジュリーを空港へ送っていきましたので、後半からの観劇となりました。 遅れて入り、いちばん後ろの席に座ってあたりを見ますと、ほぼ満員の観客が入っていました。 来年度から、大阪市の補助金がまったく得られなくなるということでしたので、大勢の観客にほっと安堵しました。
まったく、大阪市は何を考えているんだか!と、近頃腹立たしく思っていました。 文楽は、大阪発祥の世界に誇る芸能ですから、大阪がこれを支えないでどうするというんでしょう。 文化芸術ってお金と時間がかかるものなのです。 文化芸術を大事にしない国は、先進国とは言えませんね。
さておき、昨日のこの演目を観るのは初めてでした。 遅れて入ったとき、ちょうど桐竹勘十郎さんが人形を遣い、豊竹嶋大夫さんが浄瑠璃を語り、野澤錦糸さんが三味線をひいて、熱演の最中でした。 すぐに舞台に引き込まれたことは、言うまでもありません。 勘十郎さんは男役を遣っておられましたが、この方は女役もこなす力をもっていらして、いつも本当に楽しませてくれるのです。
最後の休憩の後いつものお仲間と落ち合い、前の方の席に移って「八幡里引窓の段」を観ました。
やはりこの日の圧巻は、女房おはやを遣う吉田簑助さんでした。 簑助さんの遣う人形は、まるで本当に呼吸しているかのようで、仕草のひとつひとつに命がこもっています。 視線よりも先に、胸から動き出し、首の振りが追いかけ、指先までもが感情を表す、素晴らしい芸です。
思い出すのは、今は亡き吉田玉男さんとの名コンビ振りです。 男役の玉男さん、女役の蓑助さんは、昭和後期の花でしたから。 若々しい蓑助さんの女役は、本当に艶めかしく気品にあふれていました。 私を文楽にいざなってくれたのは、この二人だと言っても過言ではありません。 病を克服し、年齢を重ねられてもなお、精進の道筋を見せて下さっていることに、感謝せずにはいられません。
そして、夏には病気休演されていた鶴澤燕三さんが、切の三味線を務めていらして安心しました。 合いの手の声にも張りがあり、演奏の冴えにはいつも聞き惚れます。
文楽がはねた後の愉しみは、何と言っても、美味しいものをいただきながらのお喋りです。 心斎橋へ繰り出し、洋食屋で夕食を共にしました。
芸術の秋と食欲の秋は、どうやら表裏一体のようですね。
by galleryfabrile
| 2014-11-12 21:46
| 出かける
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