2015年 07月 30日
文楽 生写朝顔話 |
蒸し暑い喧噪の大阪へ、不快さも厭わず出かけるのは、大好きな文楽を観るためでした。 夏休み特別講演の文楽劇場は、大勢の観客が詰めかけて活気があり、嬉しいことでした。 劇場前で、観劇後の親しい友人とバッタリ会って、お互いに無沙汰の詫びを言い合い、またゆっくり会いましょうと約束して別れました。
普段は昼の部、夜の部の二部構成ですが、夏休みは第一部を親子で楽しめるようにしており、三部構成になっています。
私たちは第二部の「生写朝顔話」(しょううつしあさがおばなし)を観ました。このお話は、チラシにも「元祖すれ違いドラマ」と書かれていますように、惹かれ合う男女の度重なるすれ違いを描いた物語なのです。 シリアスなドラマかと思いきや、ところどころに滑稽な場面もちりばめられて、涙あり笑いありの仕立てになっていました。
主人公の男性役の宮城阿曽次郎には先日襲名披露をされた吉田玉男さん、女性役の深雪には若手の吉田一輔さんが、人形を遣っておられました。 滑稽役の祐仙を遣った桐竹勘十郎さんの演技が、柔軟に役どころを捉えた見事なものでしたので、大いに愉しみました。 いつも思うことですが、勘十郎さんはいろいろな役をこなせる方で、それぞれに魅力のある遣い方をされます。 今日もその力量を存分に発揮されていて、ますます惹き付けられました。
吉田簑助さんは静かな気迫が秀逸。 三味線の鶴澤寛治さん、清治さん、野澤錦糸さんも見事。 個性の違いはあれど、熟練の技に見惚れ聴き惚れました。
観ること、聴くこと、感じることの琴線をいつも刺激してくれる文楽は、私の愉しみのナンバーワンかもしれません。 秋が深まる頃の、次の公演が楽しみです。
by galleryfabrile
| 2015-07-30 22:30
| 出かける
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