2015年 08月 28日
ご自慢のお寿司 |
暑さをおさめた夏の終わりに、お酢の効いたお料理は、体を引き締めてくれるような気がします。
うだるような暑さのときは、酢飯さえ喉を通らず、のどごしが良くて冷たいものばかりを食べていました。 お昼ごはんは、判で押したように冷やし素麺かお蕎麦でした。 ところが、涼しくなってきますと俄然ご飯ものが恋しくなります。
私の自慢料理をご紹介しましょう。
山椒のピクルスを混ぜ込んだお寿司は、きっとどこにもないと思います。 いえ、山椒のピクルス自体もあまりお馴染みではないかもしれません。
毎年初夏の何日かを、この仕込みもののために費やすのですが、この美味しさのためなら何をも厭いません。 青い実が甘酢の中で色を変え、まろやかな味になるまで、私は一年待ちます。 でもご心配なく、20年以上も毎年仕込んでいますので、いつでも使える状態にあるのです。 そして、美味しいお料理に変身したとき、食べる前に愛しさと充実感でいっぱいになります。
私が山椒の仕込みものにのめり込んだのには、若い頃の想い出があるのです。
大阪淀屋橋の画廊で仕事をしていた頃、近くに有名な「鮨萬」がありました。 いかにも老舗らしい風格のある構えのお店に、ときどきお昼のお寿司を買いに行っていました。 鮨萬本店は持ち帰りしか出来ませんでしたから、画廊に戻って熱いお茶を淹れて食べるのです。 立派な竹の皮を開きますと、お酢のいい香りがして食欲が増します。 山椒の甘酢漬けに出会ったのは、このときでした。
お寿司の添え物として、生姜の甘酢漬けと一緒に山椒も入っていたのです。
爽やかな味に魅せられていた私は、あるとき雑誌に「山椒のピクルス」の作り方を見つけ、レシピをメモして早速作ってみたのです。 どんな雑誌だったのか、誰のレシピだったのかもすっかり忘れてしまいましたが、それから自分なりに改良して、以来20年以上も作り続けているのです。
8月の常設展のカフェでは、このお寿司をメインにしてランチをお出ししています。
名残りの夏野菜を使ったお皿に、温かいおすましの椀、秋のはしりの果物の小皿を、折敷代わりの漆のお盆に設えています。 もちろんお寿司もたっぷりと。
8月の常設展は、31日まで開催です。 心地よい風と、寛ぎの椅子と、爽やかなお寿司のランチをご用意してお待ちしています。
by galleryfabrile
| 2015-08-28 23:04
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