2017年 11月 14日
富山県美術館にて |
11月の晴天の富山は、旧友との再会を祝福してくれているかのようでした。
前日にオペラを愉しみ、夜の魚津で美味しい魚と美酒に酔い、想い出に耽ったり来し方を話し合ったり、友人とのひとときは本当に楽しいものでした。
翌日も申し分なく晴れて、ともに訪れた富山県美術館の窓からは、立山連峰が燦然と横たわっているのがくっきりと見えました。
富山は、豊かな海と第一級の山々に囲まれて、いろいろな恵みを蓄えているところなのです。 清々しい空気に、日頃の忙しさも吹き飛ぶようでした。
地元の中学生でしょうか、フランク・ステラの立体画を鑑賞して、思いのままに意見を述べるという課外授業をしているのでした。 外国の美術館ではよく見かける風景ですが、日本でもこうして本ものを観る機会が与えられるのは、素晴らしいことです。
そんな光景をあとにして、コレクション展には私の好きなマチスもありました。
晩年の切り絵版画、「JAZZ」は軽快で明るくリズム感に満ちています。 生きる讃歌のようなこの作品の名の通り、ジャズが聴こえてくるのです。
久しぶりに観たマチスは、やっぱり私のお気に入りです!
そして、この美術館で最も楽しみにしていたのが、瀧口修造の部屋です。
富山県出身の美術評論家であり詩人でもある氏は、多くの芸術家との交流がありました。 そんな友人たちからの贈り物や、何気ない収集品や、貴重な逸品などが展示された部屋には、素敵な想いが詰まっていました。
私が若い頃勤めていた画廊は、1960年に「瀧口修造 展」で、東京京橋に産声を上げたのでした。 現代美術は今でこそ市民権を得ていますが、60年近く前には大冒険の試みだったことと思います。
画家のホアン・ミロとの詩画集の刊行記念展に東京出張した折り、晩年の瀧口さんにお会いしました。 物静かな微笑みの、知的な紳士だったことを今でもはっきりと覚えています。 図録にサインをして下さったのが、私の宝物です。
旧友と過ごした束の間の優しい時間は、明日への力をくれる、いい息抜きになりました。 次は一緒に直島へ行こうってことに!
by galleryfabrile
| 2017-11-14 22:55
| 出かける
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