2018年 09月 21日
なら国際映画祭 2018 |
なら国際映画祭が始まっています。
昨日、オープニングのレッドカーペットを皆なで歩き、文化会館国際ホールでセレモニーが行われました。 エグゼクティブ ディレクターの河瀬直美監督が、第5回なら国際映画祭の開会を宣言し、華やかに晴れやかにオープンしたのです。
前回のコンペティション部門で、グランプリを獲得したイラン人の女性監督による招待作品「二階堂家物語」がワールドプレミア上映され、出演の俳優陣も顔を揃えて下さいました。 そして気分はいやが上にも盛り上がってきたのです。
今日(21日)は一日映画三昧です。
奈良に「尾花座」という劇場があった頃、映画は隆盛を極めていたそうです。 これと言った娯楽の少ない時代には、映画は花形だったのでしょう。
猿沢池近くの、現ホテルサンルート奈良が尾花座のあったところです。
「尾花座 復活上映会」と称して、かつての名画や新しい話題作などを丁寧に紹介してくれる、映画好きにはたまらない企画なのです。
今日は、古い映画と新しい映画の2本を、立て続けに観ました。
「裸の島」は、進藤兼人監督が1960年に制作したモノクロの佳作です。
主演は往年の名女優 乙羽信子。 90分間のドラマには、台詞が一切ないという異色の作品ですが、その画面からほとばしり出る感情は、なまじっかな言葉をはね返す力がこもっていました。
近頃のどこかの国の国営放送局の、ぺらぺらな言葉を並べ立てたむず痒いドラマとは対極にあるような、「生きる」苦しさと歓びと、切なさと美しさがない交ぜになった素晴らしい作品でした。 見終わったあとには、「淡々と生きる」刃のようなものが向けられている気がして、思わず要らぬ言葉や暮らしの澱を飲み込まずにはいられませんでした。 大袈裟なんですよね、現代人って!
「アクトレス 〜女たちの舞台〜」は、2014年のオリヴィエ・アサイヤス監督作品です。 主演は、我らがフランスの名女優ジュリエット・ビノシュ。
女優が女優を演じるという難しい役どころを、ジュリエットはさすがの名演技でこなしていました。 自然な演技は、昨年吉野の片隅でともに過ごしたときの、ジュリエットの声、仕草、笑い方そのままでした。 目を閉じると錯覚するほどでした。
ストーリーについては語りませんが、ベリーショートヘアのラストシーンの表情は、本当にリアリティーがこもるものでした。 名声を得た女優が直面する苦悩を、猥雑な都会と大自然を対比させて描く、これもアサイヤス監督の佳作でした。
ああ、映画っていろんなことを教えてくれますね。
至福の時間でした。
by galleryfabrile
| 2018-09-21 23:10
| なら国際映画祭
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